Storm -ただ "あなた" のもとへ-


涼はグラスに水を入れて、一つを綺樹の前に置いた。

明日の朝食のパンがあるかどうか棚を覗く。


「今週末からスペインだから」


振り返ると、綺樹がグラスを手に取りこちらを見ていた。

涼は身を起こした。


「先週末に行ったと言っていなかったか?」


綺樹は視線を外してグラスを置いた。


「あれは行っただけで、仕事をしてきていない。
 この頃は毎月週末に平日2日ほどくっつけて、仕事をしに行っているんだ」


そうだ、寝に行っただけだったな。

涼の心がひやりと冷たくなる。


「随分、頻繁になったことだな」


硬い声でそう言うと、涼は戸棚の戸を閉めて自分のグラスを流しに置いた。