Storm -ただ "あなた" のもとへ-


涼は綺樹をしっかりと抱きしめなおして耳に頬をつけた。

男を知らない少女のような様子かと思うと、突然遊び人だった様子に変わる。

その巡るましさに涼は翻弄されて、抱いても抱いても綺樹を捕まえられているの
か、わからなくなる。

フェリックスが綺樹の体に残した、荒れた感じの意味がわかり始めていた。


「愛している」


綺樹は涼の肩に顎をのせて目を閉じた。

軽く息を吐くように笑った。


「お前に言われるのを始めて聞くような気がする」

「何を言ってるんだ。
 結構言ってたぞ。
 おまえが真面目にとらないだけで」


涼がちょっと押し黙った。


「言ってくれないのか?」


綺樹は声を出して笑い出した。