Storm -ただ "あなた" のもとへ-


「とりあえず始めてみないと何もわからない。
 うちに来い。
 セキュリティーは周りの人間に考えさせればいい。
 ウルゴイティの当主でダバリードの上席副社長だ。
 わがままで当たり前だ」


綺樹は天井に視線を上げた。

“信用してみる”と“騙されてみる”とでは、どういう違いがあるのだろうか。

綺樹は苦笑いをした。

今の私には同義語だ。

ふうっと息を吐いて、目の前にいる男を改めて見つめた。

とても涼らしい。

うじうじと悩まない。

考えない。

もう一度だけ。

乗ってみようか。


「そうか。
 確かに特権かもね」


涼はにやっと笑って付け加えた。


「まあ、こんなにわがままなのもいないと思うけどね」

「おまえね」


綺樹が睨みつけたのに、涼は朗らかに笑った。