涼はシャワーを浴びると、キッチンでグラスに水を注いだ。
こんな風に物事を押し切るように進めてよかったのだろうか。
寝室に戻ると既に、も抜けの空だった。
帰った?
ドアを振り返る。
グラスをナイトテーブルに置いて辺りを見回す。
綺樹の服も靴も無かった。
涼の首筋の毛がちりちりするような嫌な感じがした。
急いで服を身につけて家を飛び出る。
綺樹のペントハウスはここから遠くない。
凄く嫌な感覚だった。
肩甲骨の辺りが冷たく重い。
涼は走り出した。
道の途中で追いつくこともなく、ペントハウスに駆け込む。
ドアマンのチャールズが涼を見て驚いてから、笑顔を見せた。
「綺樹は?
彼女は戻った?」

