何度か綺樹は涼から逃れようと身をよじる。
力任せに引きずり戻しはせず、その度にキスをし、優しく愛撫して力を抜かせた。
長い時間をかけ、やっと涼が体を離したとき、綺樹はぐったりとした様子で目を閉じていた。
「大丈夫か?」
綺樹はまぶたを引き上げたが、何も見ていなかった。
「大丈夫?」
鸚鵡返しのように繰り返した。
涼はその様子に胸を吹き抜けるような不安を感じた。
「水をとってくる」
綺樹はドアが閉まる音を聞いた。
負けた。
自分自身に負けてしまった。
あのパーティで再会してからずっと涼と寝たかった。
それにわざと気づかないようにしていた。
涼の肌が触れて、指がなぞられるのに、自分の細胞の一つ一つが狂喜していた。
私は一体これからどうするんだ。
涼が言っているように夫婦関係をやり直すか?
あの一族に結婚をどう説得するのだ。
ウルゴイティの足しにならないような結婚を。
フェリックスに見物だなと言われるのが落ちだ。

