駄目だ。 絶対に駄目だ。 今日、一緒にいる目的はそれじゃない。 「涼」 綺樹の声が近いのに涼は目を開けた。 隣に身を横たわらせて、こちらを向いていた。 「どうして西園寺に戻ったんだ」 涼は綺樹の顔を凝視した。 「涼」 動きは素早かった。 身を少し起こした涼が、綺樹に被さるようにしてくちびるを合わせていた。 応えてはいけない。 拒否してもいけない。 涼が戻った理由がわからないと、そのどちらの態度をとっても、こちらの心を見 透かされてしまう。 でも、もの凄い勢いで麻痺した感覚が襲う。