Storm -ただ "あなた" のもとへ-


   *

そのまま博物館を出ると涼がセントラルパークに誘った。


「いい天気だしな。
 毎日、一日中部屋に篭っているおまえには、ちょうどいいよ」


綺樹は肩をすくめた。

並んで歩いていたが、微妙な距離感が漂っていた。

通り抜けていた芝生の広場の先でジャズが演奏されている。

最初に足を止めたのは涼だった。

顔を横に向けて眺めている。


「聞いていくか」


問うように少し首をかしげ見下ろす。

綺樹はどうぞというように眉をちょっとあげた。

少し広場へ近づいてから、涼はそのまま芝生に足を投げ出して腰をおろした。


「暑いか?」

「いいや。大丈夫」


隣に腰を下ろした綺樹は、電話で言いたくない理由を聞くタイミングを、見極められなかった。