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そのまま博物館を出ると涼がセントラルパークに誘った。
「いい天気だしな。
毎日、一日中部屋に篭っているおまえには、ちょうどいいよ」
綺樹は肩をすくめた。
並んで歩いていたが、微妙な距離感が漂っていた。
通り抜けていた芝生の広場の先でジャズが演奏されている。
最初に足を止めたのは涼だった。
顔を横に向けて眺めている。
「聞いていくか」
問うように少し首をかしげ見下ろす。
綺樹はどうぞというように眉をちょっとあげた。
少し広場へ近づいてから、涼はそのまま芝生に足を投げ出して腰をおろした。
「暑いか?」
「いいや。大丈夫」
隣に腰を下ろした綺樹は、電話で言いたくない理由を聞くタイミングを、見極められなかった。

