「全部切れよ」
なぜそんな風に命令されなくてはいけないのか。
綺樹は息を吐くように笑った。
再び顎を支えて目を閉じた。
涼はその微かに笑いが残っている横顔をじっと見つめていた。
ふっと笑いが消えて眉をしかめる。
「どうした?」
「ここは明るすぎる。
なんだか頭が痛くなる」
「出よう」
涼はナプキンをテーブルに置いて席を立った。
振り返りもせず、綺樹が付いてきているかどうか気にもしていない歩き振りだった。
綺樹は1歩後ろを歩いていたが、付いていく意味があるのか疑問になり、立ち止まった。
このまま消えても気づくまい。

