Storm -ただ "あなた" のもとへ-


そのまま両手をテーブルの上に置いた。


「交通事故ではなくて襲われたんだ。
 私は死ぬのは怖くないのだけど・・・」


苦く笑う。


「痛めつけられるだけど言うのは、どうも耐えがたかった」


綺樹は自分の両手をみつめ、淡々と自分が覚えていることを語る。

最初に左手が落ちたこと。

痛みよりも熱いという感覚が大きかったこと。

両手の次は針のようなもので両目をさされ、鼓膜を破られたこと。

片方の鼓膜が破られた時に、意識を失ったこと。

涼は綺樹を凝視していた。


「再び意識が戻った時、戻ったと思ったけど、まだ悪夢の中なのか判断がつかなかった。
 見えなかったし、聞こえなかったから。
 だからパニックになった。
 自分は死んだのかとも思った。
 その時」


綺樹は顔を逸らせた。


「抱きしめて、キスされた。
 嗅覚と触覚は生きていたから、誰だかわかった。
 あの時の・・。
 安堵感というのか、なんと言うのか。
 とてつもなかった」


綺樹は肘起きに肘をつき顎を支えた。