9時ごろに電話をしたときには起きていた。
新聞が入るのは5時以降だ。
3時間か4時間か。
昨晩は男と一緒ではなかった。
綺樹が男と寝たか寝ていないか。
彼女を取り巻く空気や肌の感じから、もの凄く良く感が働いてわかってしまう。
だからほんの少しは睡眠をとったのだろう。
そんなんだから、しょちゅうベンチに座りたがるわけだ。
「あれから体調は?」
「あれから?」
「新聞に交通事故で入院と出ていたぞ」
綺樹の表情が固まった。
この間のバーの時と同じだ。
「ああ、ああ」
視線を動かす。
「ワイン、とってきていいか?」
涼は綺樹をじっと見ていたが立ち上がった。
「とってくる」

