家に戻っているのと、綺樹の就寝時間が近くないのを、良く知っている涼はだまされなかった。 「で、寝たのは?」 「さあ、いつかな」 涼はグラスを置いた。 「チャールズがロビーに新聞を入れる音は聞いたか?」 ドアマンのチャールズは新聞を各家のロビーに入れてくれる。 「ああ、聞こえた」 「その後か」 綺樹は炭酸水のグラスを手に取った。 涼の詰問にどちらかというと、同じくワインの方が飲みたい気分だった。 「そうだね」 怒られそうな気がして視線を合わせなかった。 涼は何も言わずに息を吐いた。