Storm -ただ "あなた" のもとへ-


涼はくすりと笑って綺樹が食べている姿を眺めた。

変わらない。

白い指をフォークに絡めて、ひらりと動かし食べ物を口に運ぶ。

最初にその優雅な動きを見たとき、性格とのギャップに驚いた。

でもそうではなかったのだ。

着席の晩餐会で遠くから綺樹を見たことがある。

ドレスを着て、化粧をし、髪を結い上げる。

両隣に座る男たちと談笑しながら、食べている姿は淑女だった。

そうだ。

彼女の中にウルゴイティは確かにあるのだ。

涼の様子に気が付いて綺樹はフォークを止めて顔を上げた。

少し片眉を上げて問う。

涼はなんでもないというように頭を少し振った。

肘をついたままグラスワインを持ち、口をつけた。

少々酔わない限り、重いことばかり考えてしまい、進めなさそうだった。

窓へ顔を向けた。