Storm -ただ "あなた" のもとへ-


  *

涼にこういうところを見る趣味があるとは知らなかった。

かなり熱心に展示物を眺めている。

どちらかというと全く興味の無い綺樹は、ふらふら歩いてはベンチに座って涼が
やってくるのを待つ、の繰り返しだった。

興味は無かったが、こういう時間潰しは苦ではなかった。

また、足を組んでベンチに座り、膝に頬杖をつく。

目の前のクジラらしき模型を眺めながら、涼がやってくるのを待つ。


「退屈そうだな」


涼が可笑しそうに笑った。


「そうでもないよ。
 それなりに楽しい」


綺樹はちょっと微笑を上らせた。


「ならよかった」


涼は体を一回伸ばしてガイドブックを開いた。


「しかし良く集めたもんだ。
 まだまだあるぞ」

「アメリカさ」


涼は微かに首を傾げるようにして綺樹の言葉を聞いた。


「そうだな。
 そしてダバリードだな」


綺樹は少し考え込む。


「まあ、そうだな」