「やめよう。
日を改めよう」
ペントハウスに戻りかけた綺樹の腕を取った。
「さ、行くぞ」
後ろ向きで引きずられ転びそうになる。
綺樹は一瞬パニックになりかけた。
次の瞬間、涼の手は離れ、綺樹の腰に腕が回っていた。
「歩いていくぞ。
おまえは全く運動をしないんだから。
だから腹がすかなくて食べないんだ」
「運動ならしているよ。
自分で歩ける」
皮肉っぽくかえして腕を払った。
涼は足を止めた。
見つめる目が怖かった。
綺樹の返した運動の意味は十分わかっていた。
「だろうな」
顔をそむけるようにしてきびすをかえし、歩き出していった。
遠くなっていく背を、ただ綺樹は見送る。

