「慣れてるよ」
綺樹も微笑した。
何に慣れているのか。
だからあえて聞いてみた。
「何に?」
涼がちょっと押し黙った。
「お前の仕事の忙しさで二の次になることに」
「ああ、そう」
一瞬沈黙があった。
「おまえが逃げることも。
自分を守るために・・。
平気で他の男と寝ることも」
涼の硬い声に綺樹は目を閉じた。
多分、涼は察しているのだろう。
着信に出ないときに他の男と何をしているのか。
身じろぎをして足を下した。
「で、どうしたの?」
「ニューヨークに戻った。
食事でもどうだ?」
綺樹は息を吐くように笑った。

