Storm -ただ "あなた" のもとへ-


  *

涼からは何度か着信があった。

出れなかったり、わざと出なかったり。

そう、フェリックスと寝ていたりして。

でも彼は留守電を残さなかった。

着信履歴を見ていた綺樹は携帯を机の上に投げた。

どうしていいのか答えが出なかった。

また携帯が震える。

指を伸ばしたものの躊躇する。

一つ短く息を吸ってから取った。


「はい?」

「ああ、やっと出たな」


綺樹は椅子に両足を抱えて座った。

背もたれに頭をつける。


「ごめん。
 何度かもらっていたみたいだけど」


街を見下ろす。


「忙しくて」


涼が笑った音が伝わってくる。