「ピアニストも、ピアノをそこまで弾きこんでいた人とも、付き合ってたことを聞いたことが無いな」
「そうか」
「どちらかというと、昔から性格が派手系が好みだからね。
そういう清楚系と仲良くなったという話は聞かないなあ」
ユーリーは綺樹の反応を伺ったが、綺樹はただ可笑しそうにくすりと笑って、また立てた膝にあごを乗せた。
「こちらのことは殆どフェリックスに知れているのに、こっちは全然知らない。
手札が少なすぎて、本当に勝負がしずらいんだ」
ユーリーは笑った。
「まあ、人生を君の倍、生きているからね、彼は。
隠すのも上手だよ。
ただ、その分、手札になるネタも多いと思うけど」
ふとユーリーは気が付いて、綺樹の顔をまじまじと見た。

