仕事のことではなさそうだ。
あんな顔でプライベートで悩むことがあるのだな。
この間のトップモデルのことか。
まあ、彼も大人の男なのだから色々とあるのだろう。
綺樹はそっと水に手を入れてみた。
さらさらと指の間から水がすり抜けていく。
不思議な感触だ。
自然と口元から微笑がこぼれた。
こんなに豊かな自然があるとは。
綺樹はぐるりと見回した。
自分の中で張っているものが緩み、やわらげてくれる。
そういえば、ここは私のものなんだな。
そう思ってもまるで実感がわかない。
お飾りの当主で、次への繋ぎだけに過ぎないとわかっているからか。

