Storm -ただ "あなた" のもとへ-


幾重にも木々の葉が重なり合い、日の光が砂のように降ってくる。

そうだ。

抱いても抱いても、指の間から砂がこぼれるような感触だった。

飲んでも飲んでも渇きが収まらない。

余計に渇いていく。

それは彼女の心が涼にあるからか?

それとも彼女の持って生まれた性質なのか?

どの男もそういう感覚を抱くのか?

だから涼も綺樹を追いかけ、過去の行きずり相手がストーカー騒ぎを起こしたのか?

それだけではない。

さやかが綺樹に気付かれないように、処理している件は多かった。

フェリックスは手綱を枝に結ぶと、土手を登り岩に腰掛けた。

何やらフェリックスが物思いに沈んでいるのに、綺樹は気が付いた。

珍しい。

ちらちらと見ながらも、邪魔しないほうがいいと思って近づかなかった。

綺樹も手綱を枝に結んだ。

珍しいというか、あんな顔を見るのは初めてかもしれない。