Storm -ただ "あなた" のもとへ-


フェリックスはやっと体を離すとさっさとシャワーを浴びて、何事もなかったのように服を着始める。

体のあちこちが痛い。

綺樹は身を起こして軽く頭を振った。


「活用してやったぞ」


シャツのボタンをはめながら、ちらりと綺樹を見下ろして言った。


「二度と言うな」


綺樹はため息をつくと立ち上がる。


「確かに、こんな活用をする限りは掴まらないだろうな。
 気をつけた方がいいぞ」


フェリックスの手がぴたりと止まったのに、綺樹は急いでバスルームに駆け込んだ。

屋敷へはフェリックスの手荒い運転で向う。

綺樹は触らぬ神にたたりなしで、何も言わなかった。

屋敷に着くとユーリーが聞きつけて階段を降りてきた。


「綺樹。
 久しぶり」

「ユーリー」


抱擁して挨拶を交わす。

その無邪気に笑っている顔を、フェリックスは傍らで見ていた。


「相変わらず二人は仲がいいね」


ユーリーが交互に二人を見ると、フェリックスがユーリーを目で脅した。