「おまえには、介護のように面倒を見てくれる奴が必要だ。
だから成介にお前のカルテを送って、利用の仕方を教えてやった。
それに乗るかどうかは涼次第だった」
綺樹は視線を前に戻すと、ゆっくりとまた一口飲んだ。
「つまり、私の体はどこか悪いのか?」
「局所的にではなく全体に悪い。
食べず、寝ず、働きすぎ。
過労だ。
このままでは平均寿命は生きないだろう」
「それだけ?」
いぶかしげな顔だった。
フェリックスは嫌な顔をした。
「それだけで十分だ。
今のウルゴイティの状態で早死にしてもらっては困る。
さやかも同じだ。
だが、さやかは今回、涼を呼び戻すことに反対だ。
それは覚えておけ」
フェリックスは違う新聞を手に取った。
「今回、涼と上手くいかなかった時は、即結婚してもらうし子どもも産んでもらう。
その相手が誰であろうと文句は言わせない」
「おまえじゃないの?」
フェリックスはばさりと新聞を広げた。
「その時の状況による」
綺樹は無言のままグラスを両手で挟み回転させ、窓の外を見ていた。

