「ウルゴイティのどういうメリットになるのかわからないが、涼を通じて西園寺を手に入れるのか?
おまえだけのメリットなのか知らないけど」
後ろ手でノブを再び掴んだ。
「なんでもやってやるよ。
だから今は放って置いてくれ。
また来る。
おまえとの噂が途切れないようにはする。
それにどうせ頼んだって、マダムの館の電話番号はくれないのだろう?」
噂が途切れない程度に関係を保つなら、息子たちから私を介して病気を移されるのは困るだろうしね。
さっきの今だけに、最後の言葉はのどが詰まって言えなかった。
廊下に倒れこむようにして部屋を出た。
そのままマンションを出ようとして、バスローブ姿なのに気が付いた。
ああ、服はどうしたんだっけ。
寝室のドアを再び開けた。
ベットが目に入る。
綺樹は顔を反らせて、シャツを床から拾い上げた。
まあ人生はそんなものだ。
別にフェリックスが特別ひどいわけではない。
さやかもだ。
携帯。
綺樹は額を手で覆った。

