「葬送行進曲より、このノクターンの方がよほど葬式らしいと思わないか?」


13番。

この頃は、若手中国人ピアニストのノクターン全集が、殊の外、気に入っているようだった。

CDジャケットに写った彼は、指を組み合わせた向こうから、こちらをじっと見ている。

ぽつりぽつりと始まった音が、流れ出した。

さらえ、奪えとけしかける。

葬送じゃない。

これは悲劇的な愛の激情だ。