綺樹はぼんやりと書類を眺めた。

ぽっかりと体の中が空虚になった感触がした。

背もたれに体を預ける。

一つ呼吸をした。

ああ、疲れた。

なんだか、とても。

痺れが治まり、綺樹は両肘を机について額を支えた。

私は心を他人に開いては駄目なんだな。

開くと、捨てられるのだ。

フェリックスに涼、そして・・・。

私は他人に心を許しては駄目なのだ。

割り切らないと。

気分を切り替えるように綺樹は顔を起こすと、再び仕事に向かった。