「お願い」 窓から入ってくる月光が綺樹の肌を光らせていた。 フェリックスは顔を背けた。 一つ呼吸をして目を閉じた。 綺樹に視線を戻した。 「お休み、綺樹」 綺樹はどうしようもないことを悟って手をぱたりと落として離した。 出て行くフェリックスの背中を必死な思いで見つめていた。 「フィー」 最後、ドアが閉まる時、綺樹は呼びかけた。 一瞬ドアが閉まるのが止まった気がした。 しかし重く、木の扉は音を立てて閉まった。 綺樹にはどうしようもなかった。