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ふと目が覚める。
この所、いつもそうだった。
綺樹はしばらくフェリックスの寝顔を見ていた。
日中は、後ろへ流している長めの前髪が、顔にかかっている。
フェリックスは大部分をスイスのボーディングスクールで育ち、大学だけイギリスだった。
なのに、生粋のイギリス紳士のような佇まいだ。
それがこうやって前髪が乱れて顔に落ちていると、退廃的な雰囲気を漂わせる美
青年になる。
困ってしまった。
少しずつ情が沸いてくる。
考えてみたらこれほど同じ男と寝るのは、フェリックスが初めてだ。
涼よりも。
綺樹は少し瞳をかげらせた。
結婚までしていたのに。
涼のことは全く考えないように努めていた。
押さえ込むのが上手くなった。
涼は夢の空間に置き、フェリックスは現実の空間に置いていた。
全て夢。
涼は夢だ。
そして今、一番大事なのはフェリックスだ。

