Storm -ただ "あなた" のもとへ-


自分の胸に抱くと髪にくちづけした。

続いてため息が髪を揺らした。


「どうした?」


見上げる。


「いや」


フェリックスはしばらく綺樹の瞳をみつめていた。


「なんでもない」

「そうか?
疲れているみたいだ。
 寝よう」

「おまえが疲れさせてんだ」


フェリックスは目を閉じた。

綺樹はちょっと眉を上げて、ふざけた。


「おまえが押し倒しているんじゃないか」


目を閉じたまま鼻で笑う。


「その意味じゃない」


綺樹は肩をすくめた。

そして目を閉じた。

瞬く間に眠りに落ちて行った綺樹の顔を、フェリックスは静かに見つめていた。