肩へくちびるを滑らせ背中へと舌を這わせる。
綺樹はちょっと身動きした。
それを力で押さえつける。
前は互いに技術を競い、快楽をむさぼるようだった。
それが今回は違う。
綺樹はこちらを労わろうと癒そうとしてくる。
気が付くと真綿のような空気に包まれ、硬くなっている細胞の一つ一つが本来の柔軟さを取り戻し始める。
前回のつもりでいたフェリックスには誤算だった。
昨夜引きずり寄せた時、頭のどこかで前回の事から直ぐに終えられると考えていた。
だから安易に綺樹の提案に乗ったというのもあった。
「う、フィー。
痛い」
考え事をしていて、腕を後ろへ回して押さえ込んだまま、その肩へ体重をかけていた。
「悪い」
自分のしたこととはいえ、フェリックスは少しどきりとした。
なんだか自分が自分の意思の外で、何かを仕出かし始めている気がした。
「大丈夫か?」
背骨を指でなぜ、くちびるを胸元へ這わせる。
綺樹は答えの変わりにフェリックスの背中へと手を滑らせた。

