Storm -ただ "あなた" のもとへ-


独り言のようなその台詞にフェリックスは驚いた。


「おまえはずっと私を救ってきた。
 やり方がどうであれ。
 今回はおまえがいなかったら、恐怖で発狂していただろう。
 ただの女遊びならばこんな心配もしなかった。
 でもどう見ても今回のおまえの館通いはそうじゃない。
 何かのストレスに駆り立てられているようだった。
 このままだとあの噂は肥大化する。
 しかも悪い方へ。
 そして、おまえは放り出される。
 それを止めたかった」


フェリックスは綺樹から正面へ顔を戻した。


「おまえに心配されるとは私も落ちたものだな」


ふざけると綺樹はフェリックスに背を向けた。

優しくその背に問い掛ける。


「あの男を思い切るためのきっかけになったか?」


綺樹は足を止めたが、背中を向けたままだった。

息を吐く音がした。