フェリックスは間違ったやり方をしてしまったことを悟った。
いつものように噛み付いてくるかと思った。
そこから本心を探ろうと思ったのだが。
「綺樹」
「うん?」
体をこちらに向け窓によりかかった。
レース越しの光が降りかかっている。
綺樹のほうが先に口を開いた。
「おまえの知性に落胆するような言い訳をするなよ」
フェリックスは笑った。
「誰がするか」
綺樹は口元の片方を歪めた。
「安心したよ」
「確かにその傷もあざも私がつけたものだ」
綺樹は口を開きかけて閉じた。
「じゃあ、おまえが誘ったんだ?」
フェリックスは息を吐いた。
「なぜそんなゴミみたいな男にならなければならないんだ?」

