「ん」
声をたてると髪をかきあげた。
目を開いてシーツを見つめる。
体を横にして視線を動かした。
窓辺に立っていた綺樹が顔を向けた。
「おはよう」
朝の白い光が彼女に降り注いでいた。
柔らかな微笑を浮かべている。
現実に見られるような光景で無いのに、まだ夢の中にいるのかとぼんやりとしばらく見つめていた。
記憶が蘇ってくる。
フェリックスは無言で息を吐くと上体を起こした。
「朝か」
顔をなぜた。
「明けぬ内に帰るつもりだったのに、寝過ごしてしまったな」
膝をたてそれに肱をつくと額を支えた。
「朝食が来ている。
食べる?」
「そんな、時間か」
フェリックスは呟いた。
綺樹はギブスで固定された手を上手く使って、テーブルからベットの上にトレーを滑らした。

