Storm -ただ "あなた" のもとへ-


   *

眼は一ヶ月。

耳は二週間。

手は状態次第。

フェリックスはプラスティックでそう伝えた。

綺樹はそれで恐怖から逃げられた。

大部分の。


「睡眠薬が欲しいな」


綺樹はぽつりと言った。


「うとうとはするんだけど、熟睡出来ないんだ」


意識が戻って5日経っていた。

綺樹は薬が必要な理由は言わなかった。

フェリックスもあえて問わなかった。

薬は出せない。

綺樹には元々常習癖があった。

それが気がかりだった。

原因をケアしない限りは、中毒になるのが山だ。

再びフェリックスが仕事を終えてから病院へ戻ったのは、日付が変わる時刻だった。

薄暗い廊下を歩いて、綺樹の病室のドアを開ける。

ベットに横になっていた綺樹は、寝ていたとは思えない素早さでこちらを向いた。