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眼は一ヶ月。
耳は二週間。
手は状態次第。
フェリックスはプラスティックでそう伝えた。
綺樹はそれで恐怖から逃げられた。
大部分の。
「睡眠薬が欲しいな」
綺樹はぽつりと言った。
「うとうとはするんだけど、熟睡出来ないんだ」
意識が戻って5日経っていた。
綺樹は薬が必要な理由は言わなかった。
フェリックスもあえて問わなかった。
薬は出せない。
綺樹には元々常習癖があった。
それが気がかりだった。
原因をケアしない限りは、中毒になるのが山だ。
再びフェリックスが仕事を終えてから病院へ戻ったのは、日付が変わる時刻だった。
薄暗い廊下を歩いて、綺樹の病室のドアを開ける。
ベットに横になっていた綺樹は、寝ていたとは思えない素早さでこちらを向いた。

