*
自分の意識を取り返したと思った。
なのに何も見えず、聞こえなかった。
何が自分に起こったのか思い出すと、体中の血管が縮こまった。
体が震える。
私は死んだのだろうか。
ここは狭間の世界だろうか。
上体を起こして情報を得ようと手探りかけ、自分の手首から先が無いことを思い出した。
何かくっついている気はする。
恐い。
綺樹は叫びそうになった。
声が出なかった。
舌が動かず、唇が震えるだけだった。
体の震えを押さえ込もうと両腕を体に回す。
まだ私はあそこにいるのか。
あの男は目の前にいるのか。
今度は舌か。
誰かが肩に手を置いた。
綺樹はなぎ払って語気鋭く言い放った。
「殺せ」

