「呼んで……欲しかった……」 そう言うと、フワッとだきよせられて。 ぎゅうっと抱き締められた。 それから、酷く甘い声で。 「春……春、春……!」 何度も、何度も、呼ばれた。 なんでだかすごく。―――すごく、嬉し かった。 「うぅ……棗……」 「……ぷっ」 ……え。 突然吹き出した棗を見上げると、棗は眉 尻を下げて、笑っていた。 「もうマジで……飽きねーな、お前」 「な……!?」 訳がわからず口をパクパクさせる。餌を 求める鯉のように。