【短】強引な君

「ちょっ…!」



「悪かったって。お詫びにソレ、やるよ。じゃあなー、気ィ付けて帰れよ」



くるりと背を向けてスタスタと歩き出す先生。


私は呆然とその後ろ姿を見つめて──…

先生はそのまま、ひらひらと手を振って教室から出て行った。



「…そ、れ……?」



……はっ!

も、もしかしてこの腕時計!?


私はつけっぱなしにしていた腕時計を見つめる。



「そ、そうだよね…煙草が先生のだったんだから…これも先生の…だよ、ね?」



ど…どうしよう──!?


慌てて追いかけて教室を出るが、先生の姿は無かった。


職員室か準備室か…

すれ違いになってしまっても困る。



「明日…返せばいっか」



くれるって言ったって…

こんなモノ、貰えないし。


軽く溜息を吐いて、その日は家に帰った。