乙女系王子様

「どうしよう…」


結局、今まで王子に確認することも、渡すことも出来ないでいる。


だけど、私は知ってる――…

王子が、左耳にしか――ピアスをしていないのを。


ピアスをそっと指で掴んで持ち上げ、下から光に透かして見上げてみる。


大事なものだったら困ってるだろうし、早めに返したほうが──…いいよね。


わかってる…けど、なんとなく、繋がりが無くなってしまうようで…寂しくて…ずるずると逃げていた。


開いたままのオルゴールが音を奏でて、ゆっくりと時間が過ぎてゆく。


~~~♪


「――ッ!?」


オルゴールとは違う音。

携帯が、鳴った。