――よしっ!

ノートはまとめ終わった。
あとは、覚えるだけだ。


「んー……」


だけどそれが、なかなか頭に入ってこない。
何度も繰り返し書くといい、というのを聞いたので書いてみるが……手が疲れた。


カタカナって、苦手なんだよね…。


しかも長ったらしいのだと余計覚えられない。

うーんうーん…と唸っていると、ふとノートの上に陰が出来た。


「世界史?」


ぽんっと頭に手を置かれて、横から顔をのぞき込まれる。


「──わ!…びっくりした」


そこにいたのは、王子だった。
至近距離からのぞき込まれて、顔が熱くなる。


なんで、こんなにドキドキするんだろう……?


「こんなところにいたのね」


王子が隣の椅子をひいて、腰掛ける。


「あ……うん」


「拓真は?」


「帰ったよ」


「……アイツ……やる気あるのかしら」


拓真くんが帰ったと言うと、王子は眉を顰めて溜息を吐いた。