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( side 王子 )


放課後の教室で姫と拓真に数学を教えていたら、何人かの女子が自分たちにも教えてほしいというので、教えに来ている。

姫たちには問題集を進めておくように言っておいた。


こっちのグループを教えながらも、姫たちの方が気になったので見てみれば──…、

……なに話してるのかしらねェ?
手、動いてないし。


案の定、二人はおしゃべりをしていた。

おそらくは拓真だろう。
飽きただのなんだの言っているに違いない。

ちゃんとやらないとただじゃおかないわよ──、という思いを込めてじっと見つめていれば、視線を感じたのか、姫が顔を上げた。

そして、拓真の腕をつついて──…拓真もアタシの方を見た。

にっこりと笑ってあげれば、二人が勉強を再開したので、アタシもこっちの子たちの説明に戻る。


数学はコツさえ解れば、簡単だ。

答えはひとつしかないのだから。