放課後の教室。
何人かの生徒が残っている。

私と拓真くん、王子も残って──お勉強会である。


「なんで俺が…」


「山ちゃんが不憫なのよ。もっと真面目に勉強なさい」


「いいじゃん別に」


「よくないわよ。留年したいの?」


……一向に勉強が進みません。

と、いうのは拓真くんがごねているからです。

机を二つくっつけて、私と拓真くんと隣同士に並んで座り、その前に片手に教科書を持った王子が立っている。


ふふっ…王子、本当に先生みたい。


「いい?まずは数学からやるわよ」


「はーい!」


「いやでーす」


「「…………」」


拓真くん…

たぶん勉強が、っていうよりも王子に教えてもらうことが嫌なんだろうなぁ…?