乙女系王子様

黙って聞いているのが、やっとだった。


王子の…元カノ…ミサ…



「ごめんなさいね、遅くなっちゃった」



王子の声にハッとする。


ミサさんは──いない。


「……海?どうかしたの?大丈夫?」


俯いている海ちゃんに王子が優しく声を掛ける。


「……へーき」


「そう?ならいいけど…」


拓真くんが王子の隣に立つ。


「──お前は?」


「え…?…ああ、大丈夫よ」


苦笑に近い笑みだった。