「でも……違った。本当に好きだったわけでも何でもない。奈留は、ただのキープ。そういう奴が5人以上はいたんだ。選んだ理由は…顔が綺麗だったから、だと」
「………!」
握った手に、ぎゅっと力が入る。
「その頃は、まあ、俺らもまだガキだったし。今より背も低くて身体付きも華奢で…奈留はあんな顔だからさ、女に間違われることもしょっちゅうあったりして。アイツは…高校生の奴が本命だったんだ。剣道部の、いかつい主将。男らしい人が好きだと言いやがった」
「………………」
男らしい…
それは──……
「他にも男がたくさんいるってのに──…奈留がどれだけ別れようって言っても聞かなかった。他の奴とは別れるとかなんとか言って。だけど……中3の夏休みが始まる頃、あいつが転校することになったんだ。……で、あっさり捨てられた」
「……ッ……」
「………!」
握った手に、ぎゅっと力が入る。
「その頃は、まあ、俺らもまだガキだったし。今より背も低くて身体付きも華奢で…奈留はあんな顔だからさ、女に間違われることもしょっちゅうあったりして。アイツは…高校生の奴が本命だったんだ。剣道部の、いかつい主将。男らしい人が好きだと言いやがった」
「………………」
男らしい…
それは──……
「他にも男がたくさんいるってのに──…奈留がどれだけ別れようって言っても聞かなかった。他の奴とは別れるとかなんとか言って。だけど……中3の夏休みが始まる頃、あいつが転校することになったんだ。……で、あっさり捨てられた」
「……ッ……」


