乙女系王子様

***


「あ、海ちゃん戻ってきた!」


「ったく、いきなり走り出すなんて…あいつも夏の暑さでやられたか」


「何バカなこと言ってるのよ、拓真は」


溜息を吐いて呆れる王子。


そんないつものやりとりの二人に笑ってしまう。


近づいてきた海ちゃんを見ると…なんだか元気がない──…?


「海ちゃ……」


その時──海ちゃんの後ろから女の人が現れた。



「───…ミサ…?」



小さな声で王子が呟いた。


王子たちを見れば、王子も拓真くんも、すごく驚いたような表情をしていた。



「──久しぶり、ナル。わあー、かっこよくなったねぇ」



ふふっと笑う、その顔は、美しくて──…


何故かとても怖かった。