乙女系王子様

「……ハァ……ハアッ…」


また訳のわからない涙が溢れる。


なんで?


恥ずかしいの?悔しいの?



に…逃げてきてしまった…。

きっと、王子が上手くフォローしてくれているだろう。


そんなことを思いながら、どこに行けばいいのかもわからず、涙をぼろぼろ零しながら、走る。



たぶん──、


切ないんだ。



「……ッ!?」


──ドンッ


前をよく見ていなかったから、人にぶつかってしまった。


「ッ、いったぁ……なに?」



「あ…ごめんなさ…


 ───ミ…サ…?」



「……あっれぇ?海ちゃん?久しぶりー」