乙女系王子様

だけど──…やはりというか嵐が振られたので、縁起が悪いし止めておくことにした。


姫乃と嵐がくっついたら王子も姫乃を諦めるし、ちょうどいいかなと思ったのだけど。



「……まっ、そう上手くいかないよねぇ」


「? 何か言った?」


「別にィ~?……戻ろっか!」


「……そうね」


涙は王子の浴衣で拭いたし。

目の赤みは夜だからわからないだろうし。


──もう、大丈夫。


何も言わずに王子がそっとあたしの手を取って歩き出すから…また泣きそうになったけど…、我慢した。


ゆっくり歩いて、姫乃たちのところに戻る。


―――……


「また食べ歩きしてたのか」


「違いますぅー!」


戻って早々、たっくんが嫌味を言うものだから、思いっきり足を踏んでやろうとした。

……かわされたけど。


それを見て姫乃がクスクス笑う。


──…可愛いと、思う。

可愛くて、小っちゃくて、守りたくなるようなタイプなんだろうなぁ…。