乙女系王子様

「…ずっと…わかってたよ。王子があたしを、女として見てないことくらいさぁ」


「──あら?それは語弊があるわねェ…ちゃんと女の子だって、思ってるわよ?」


ぐりぐりと王子の浴衣に顔を押しつけて涙を拭う。


そう──女の子として優しく扱ってはくれる。


だけど──…女としては、見てないんだよなぁ。


「中学からずっと一緒に居て…ずっと王子のこと見てて…頑張ってアピールだってしてた…」


「……………」


「…なのにさ、アイツを選んで…あたしなんかスルーだもん…友達のままだもん……」


「……………」


「それでも…高校でも頑張ろうって、思ったけど……姫乃が転校してきて…もうさあ、王子、姫乃しか見てないんだもん」


「海…──、いっ!?」


ぎゅううう、と思いっきり腕に力を込めて王子を締め上げる。