乙女系王子様

「──ごめん、ね」


「……どうして、海が謝るの?」


さらに大きな温もりがあたしを包んだ。

王子が抱き締めてくれたのだ。


──…温かい。


あたしは、ずずっと鼻を啜る。


「──…鼻水ついても、知らないから」


そんなことを言いつつ、王子の胸に顔を押しつけているのは…あたしの方だけど。

背中に回した手で王子の浴衣をぎゅっと握る。


「いいわよ」


クスッ、と笑って優しく背中をさすってくれる王子。