乙女系王子様

「──アタシも、好きよ」


震える声でそう告げたあたしを見て、

王子は一瞬だけ目を閉じて──真剣な顔をしてから……困ったように、ふわりと微笑んだ。


「ん……わかってる。私の欲しい──“好き”じゃ、ないんだよね」


耐えきれなかった涙が溢れて頬を伝う。


何だろう──この涙は。


悲しいの?悔しいの?


「……そう、ね。海のことは──友達として……大好きよ」


───…寂しいんだ。


そっと頬に温もりが触れた。


王子の大きな手の平があたしの頬を包んで、指で涙を拭ってくれている。