――花火が終わった。


「すごかったねぇ」


「この後どうする?まだどっか見る?」


「そうね…どうしましょうか」


石段に座ったまま考える。


すると、急に海ちゃんが立ち上がった。


「ね、王子、ちょっと付き合ってくれる?」


「? いいわよ」


どこ行くのかなって気になったけど、疲れたこともあり、この場で待っていることにした。


「いってらっしゃい。俺も疲れたし、姫乃チャンとここにいるよ」


「じゃあ、よろしくね」


「ハイハイ」


海ちゃんと王子の背中を静かに見送った──…



( 夏祭り前編 end )