「──姫乃!」


大きな声がして、振り向く。

そこには──息を切らした嵐くんがいた。


「あ…嵐くん!?」


「あら、嵐。来たの?」


「悪ィ…寝坊した」


「はあ!?こんな時に!?あんた、馬鹿じゃないの!?」


照れくさそうにそう言った嵐くんに、亜希がすごい剣幕で怒る。


来て──…くれたんだ。

気まずいのもあったけど、やっぱり嬉しくて、頬が緩んだ。