嵐とかいう奴――…

会ったときから、敵意剥き出しだった。

面白いくらい威嚇してくるから、にこやかに手を差し出して、おもいっきり握ってやったけど。


言動を見ていても、姫が好きだろうことは、すぐにわかった。

姫からそいつの話題は聞いたことがなかったし、まあ、友達くらいにしか思っていないこともわかった。


まさか……今になって告白してくるとは思わなかったけど。

いや…むしろ、アタシがいるから、かもしれないけど。


「……はぁ」


またひとつ、悩みが増えた。

考えることが――たくさんだ。


「溜息吐くと幸せが逃げるヨ」


「……拓真も試験でたっくさん溜息吐いてたものねェ。ハッ、上手くいかないはずだわァ」